Appresso Engineer Blog

アプレッソのエンジニアが書く技術ブログです。

IoT World 2016 参加レポート (後半)

こんにちは、開発の田中です。

IoT World 参加レポート後半です。
飛行機出発の時間までに書ききれず、帰国してからのアップになります。

前回の記事では、初日の基調講演と 2 日目の展示について書きました。

appresso.hatenablog.com

今回は最終日の展示についてとまとめを書きます。

最終日の展示では、前日の展示よりも少し焦点を絞って見聞きしてきました。

まずそもそもこの展示会は、ビジネス色が強く、ネットワーキングバーや各ブースで用意したテーブルでネットワーキングや商談を行っていました。
なのでそもそも展示というよりは、テーブルと椅子だけ持ってきて、商談するつもりしかないようなブースも散見されました。
というわけで技術的な露出はあまり多くありませんでした。

ミッションクリティカルについて

主に工場の生産システムや農業の最適化、スマートシティに対するソリューションを持っている企業に聞いてみました。

センサーといっても様々で、例えば工場内のロボットなどに取り付けるセンサーであれば、データのロスは絶対に起こしたくないので、非常に精度が高く、センサーの故障も少ないそうです。
逆に、コンシューマー寄りであったり、データが落ちても良い分野もあって、そういうところで使われるセンサーはそもそもセンサー自体の故障も多いそうです。
いずれにしろ、最近ではゲートウェイの役割が重要になってきており、センサデータはゲートウェイで粒度を揃えたり、ウインドウ集計を行うことが多いようです。
そこから最終的な IoT プラットフォームにデータを集めるようです。
ゲートウェイからアップロードされるデータはミッションクリティカルと言えるのではないでしょうか。

無線ネットワークについて

気になったところをメモっておきます。

アメリカでは鉱業が盛んな地域では、ネットワークインフラが全く存在しないこともあるそうです。
そのような地域で、例えばトラックの効率的な運用をナビゲーションするようなシステムを構築しようと思うと、自分たちでネットワークインフラを構築しないと行けないこともあるそうです。

また、無線の高速化や、カバーしている範囲を広げるために 5G の研究が進んでいるという話やマルチバンド LTE アンテナのブースもありました。
マルチバンド LTE アンテナだと、parsec という会社が目立っていました。

デバイスについて

IoT ゲートウェイに関してはほとんど見当たらなかったです。
エッジコンピューティングという言葉も数回聞いた程度でした。
近いところでは、ARTIK と Supermicro という会社が一番目立っていました。
ARTIK も、IoT ゲートウェイというよりは、さまざまな組み合わせが可能な組み込みデバイスと言った感じです。
ARTIK はスマートホームソリューションをブースで展示していました。

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ARTIK の組み合わせ可能なデバイス

デバイスマネジメントについて

私は IoT ゲートウェイの向こうにあるセンサーの状況まで管理できるツールや仕組みがないかなと探してみたのですが残念ながら見当たりませんでした。
デバイスマネジメント自体はそこそこ展示してあって、infiswift という会社はかなり広い範囲をカバーしているプラットフォームを持っていました。
とはいえ、デバイスマネジメントの仕組みは、私がわかりやすい印象で言えば、AWS IoT と同様で、自社サービスのバックエンドで稼働している MQTT Broker を使用していました。
infiswift でいうと、可視化ツール、あるいは、どのようなデータが来たら、どのような処理を行うか、などのルールエンジンも持っていました。

まとめ

私は DataSpider および HULFT IoT を開発しているという観点から、エンタプライズ向けのサービスやソリューションを中心に見てきましたが、日本の IoT 向けのサービスは非常に先進的であるという印象を受けました。
IoT World という展示会の性質上、あまり技術的な露出がなかったというのもあるので厳密には比較できませんが、プロトコルであったり、ネットワークあるいはデータ処理の負荷分散であったり、日本のサービスは様々な工夫をしていると思いました。
ただ、IoT World で展示されていた、工業・農業の最適化ソリューションの多くは R&D の段階で、これがどれだけ通用するか、受け入れられるかはまだまだこれからなところがあるので、また来年どうなっているかが非常に楽しみです。

以下、展示会の様子です。

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会場入ってすぐのビッグスポンサーのブース

一番わかり易い IoT のイメージは、よりたくさんのデバイスがクラウドに繋がるようになりました、というところだと私は思っているのですが、デバイスからクラウド、場合によってはネットワークまでカバーできると謳っているのは、ビッグスポンサーである、Hitach、Avnet、Analog Devices、などでしょうか。
デバイス自体の展示は、あまり多くなかったと思います。

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Hitach さんの R&D 展示

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展示していたソリューションでもでは、Lumada を活用している部分もあるらしいのですが、幅広く IoT に必要な機能を迅速に提供できることができるというメッセージ性が強いのかなという印象でした。

全体の印象としては、AWS IoT のようなバックエンド (MQTT Blocker やデバイスマネジメント、ルールエンジン) + リアルタイムな可視化が多かったと思います。

余談...

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展示会初日、こちらで活動しているセゾン情報の人と食べた肉

一人での旅はなかなか心細いものがありましたが、Uber で乗った車の運転手さんには何度も励ましてもらいました。
ありがとうございました。